物忘れが不安なお母さまの財産管理を家族信託でサポートしたケース
お客様のご状況
お母様が認知症の傾向にあるとのことで、弊社実施の交流会館セミナーを受講されたA様からのご相談です。
お母様の現状を専門家のほうで見てもらい、それでも家族信託が出来そうだったらお願いしたい、とのご要望でした。
現在、長女であるA様が実家でお母様の世話をしているが、将来的に施設を利用するのは間違いとのこと。施設利用の際にまとまったお金がかかるだろうが、A様を含む子の世代でそのお金の工面は難しいとのことでした。
また、長女であるA様が、相続などの話をお母様にもちかけるといつも不機嫌になってしまうので、プロが間に入って進めてほしいというご要望もありました。
ご家族構成
・お母様(お父様は先に他界)
・長男、長女(A様)、次女
・次女は既婚で子供が1人
ご資産の状況
・預貯金:2,000万円ほど
・ご自宅:2,500万円ほど(実税価格)
→相続登記が未完了
ご相談内容・課題
・お母様の意思能力に問題がないかどうか
・相続登記が未完了の物件の手続きをスムーズに終わらせられるかどうか
・ご家族同士のコミュニケーションエラーでトラブルにならないように留意する
家族信託の設計
お母様とお話したところ、やや物忘れの傾向はあるものの、書面の内容や家族信託の契約などについて、しっかりとご理解いただける状況でした。
※当事務所では、家族信託契約を必ず「公正証書」で作成し、その際には公証人による意思能力のチェックも入ります。
まずは、お父様の名義のままになっている不動産を信託財産に含めるため、未了だった相続登記および表題変更登記(未登記建物の追加)を実施しました。
そのうえで、お母様の老後の介護や生活に必要であろう金銭および、自宅を信託財産として、家族信託契約を締結しました。
またその相続財産の帰属割合(家族信託が終了した後の財産の行き先)に二女様がご不満をもっていた(兄弟仲が少し微妙だった)ので、姉弟全員との話し合いをおこないました。
その結果、きれいに三等分することで全員が納得することができました。
信託財産に含めなかった財産については、遺言で三等分にすることでご兄弟全員の協力を得ることができたと思われます。
お母様の状態を受けて、信託契約時にはっきりと意思表示できるように、可能な限り早い作業を心がけて進めました。
家族信託によって実現したこと
ご依頼いただいたすべてが順調に終わり、長女さんのお悩みを解決することができました。兄弟間でも、財産の分け方が決まったため、皆さんから喜んでもらえました。Aさんからは、依頼を受けて完了するまで半年ほどかかりましたが、現在はゆっくりした気持ちで介護を続けることが出来ているとのお言葉をいただきました。
本案件は、姉弟間で争いが生じるおそれをご紹介いただいた金融機関のご担当者様も気にしていたため、姉弟間で財産の分け方などの話し合いをする必要がありました。
結果的に、皆さんに正直に話し合ってもらった結果、信託を通じて絆が強くなったとのこと、関わった専門家として、とてもうれしかったです。
また、お母様の状態がギリギリだったので、必要となる手続きを出来るだけ早く行うように心掛けていました。ファミリアグループは、相続登記~家族信託まで、ワンストップサービスを提供できるので、手続きを最速で行うことが出来ました。
受託者となった長女A様と信託契約後に連絡を取っている際に、表情が明るくなっていたことが印象的です。悩みがなくなり、ご自身の人生についても前向きに考えられている様子でした。
また、今後、信託した不動産の売却や遺言のメンテナンスなどが発生したときもサポートをお願いしたいとのお言葉もいただきました。家族信託は組成して終わりではありませんので、私たちも引き続きA様ご家族へのサポートを続けてゆきます。