区分建物と金銭をご夫婦そろって信託したケース
状況
市内にお住いのRさん(男性・50代)からのご相談です。
Rさんのご両親(父・80代、母・80代)は、Rさん宅近くの公団住宅にお二人で暮らしていらっしゃいます。
ご両親が高齢になり、認知症の心配や、いずれ施設へ入所する可能性も出てきました。このご夫婦は、現在お住まいのお部屋の他に、他階にもう1室お部屋を所有しております。もし、ご両親が認知症等の判断能力の衰えが見えてきたときには、この2室の賃貸や売却ができなくなってしまうことを懸念されております。また、預貯金もご夫婦それぞれ保有しており、現在はご本人様が管理されておりますが、いずれはSさんが生活に必要な資金や、施設費用などを適切に管理していきたいと考えておられます。
なお、Rさんには遠方にお住いの妹さんがいらっしゃいます。ご両親へのまめなケアは難しいですが、ご家族全員仲が良く、Rさんに何かあった場合には妹さんが頼りです。
設計
当事務所では、ご両親がそれぞれRさん、妹さんと家族信託契約を結ぶご提案をしました。家族信託のスキームは以下のとおりです。
・信託財産:区分建物1室(ご夫婦共有)・区分建物1室(お母さん)
金1,700万円(お父さん)・金4,000万円(お母さん)
・委託者:お父さん・お母さん
・受託者:Rさん
・受益者:お父さん・お母さん
・第二受託者:妹さん
・財産の帰属先:Rさん・妹さん
お父さん、お母さんそれぞれが契約書を作成し、信託しました。委託者(受益者)であるお父さん又はお母さんが亡くなられた時点でこの信託は終了し、残余財産はRさんと妹さんに均等に帰属することにしました。Rさんが先に亡くなられた場合には、妹さんが第二受託者となるようにしました。
また、信託専用口座を開設し、お父さんお母さんの預貯金をRさんが管理できるようにしました。
メリット
ご両親に代わって、Rさんが区分建物の賃貸や売却ができるようになりました。ごしご両親が施設に入られた後でも、お部屋が空室のままにならず、適切な管理が期待できます。
また、信託口口座へご両親の預貯金を移したことにより、Rさんがお金の入金や引き出しをはじめとする管理できるようになりました。年金の受け取りや光熱費の支払いなど、比較的流動的なお金はそのままで、万が一に備えてあった、まとまった定期預金などは今後Rさんがご両親のために管理できるようになりました。