ご自宅のお土地と隣地、金銭を信託したケース
状況
市内にお住いのSさん(男性・60代)からのご相談です。
Rさんは、お母さん(90代)と奥さんの3人でご自宅で暮らしていらっしゃいます。お母さんが高齢のために手足が不自由になってきてしまい、認知症の心配も出てきました。ご自宅の建物はSさん名義なのですが、お土地はSさんとお母さんの共有です。もし将来、土地の貸借や売却をしようとすると、お母さんに意思能力があることが大前提です。また、隣地の山林や畑を農地転用・地目変更する際にもお母さんの判断が必要になりますので、もしお母さんが認知症や寝たきりになってしまった場合には、土地に手出しができなくなってしまいます。
設計
当事務所では、お母さんSさん、Sさんの奥さん家族信託契約を結ぶご提案をしました。家族信託のスキームは以下のとおりです。
・信託財産:ご自宅の宅地1筆・隣地山林1筆・隣地畑1筆
金3,000万円
・委託者:お母さん
・受託者:Sさん
・受益者:お母さん
・第二受託者:Sさんの奥さん
・財産の帰属先:法定相続人
公正証書を作成し、信託契約をしました。委託者(受益者)であるお母さんが亡くなられた時点でこの信託は終了し、残余財産は法定相続人で協議して分割するようにしました。Sさんがお母さんより先に亡くなられた場合には、奥さんが第二受託者となるようにしました。また、信託専用口座を作成し、お母さんの預貯金をSさんが管理できるようにしました。
メリット
お母さんに代わって、Sさんがご自宅のお土地や隣地の管理をができるようになりました。山林と畑の信託登記は農地法によりできませんでしたが、公正証書を作成し、信託不動産を明記しましたので、今後宅地に変更した際には追加で信託登記が可能です。
もし、将来土地を貸借、売却する際には、Sさんお一人によってスムーズな契約ができ、適切な管理が期待できます。また、信託口口座へお母さんの預貯金を移したことにより、Sさんがお金の入出金を管理できるようになりました。
今までの口座が凍結されてしまう恐れがなくなり、お母さんの幸せな生活のために、Sさんが代わりにお金が引き出せるようになりました。