お一人様の認知症&相続対策。兄弟が多く、姪に財産管理を任せたいと考えていたケース
お客様のご状況
岐阜県にお住いのお母様(A様・90代)からのご相談です。
A様には子供がいらっしゃらず、姪と甥がいて、なおかつ兄弟が4名いらっしゃいます。
ご家族構成
・ご兄弟(4名)
・甥、姪
ご資産の状況
・ご自宅(土地・建物)
・駐車場
・預貯金
ご相談内容・課題
A様の近くには、姪のB様がお住まいです。B様はすでにご結婚されていて、成人したお子様がいます。
A様は今後の財産管理や、相続も含めてB様を中心に任せて、引き継いでいきたいと考えていました。
お子様のいない相続の場合、兄弟相続が発生し、4名のご兄弟が続人になります。ただ、4名のご兄弟もかなり高齢のため、相続発生時に誰が認知症になっていたり、心身の不調などで動けないという可能性がありました。
こうなると、様々な手続きを進めるうえで印鑑をもらったり、遺産分割協議を行なったりする際に、かなりの手間と時間がかかることが想定されました。
また、認知症の方がいる際には、相続手続きのために成年後見人を付けなくてはいけません。
さらに、A様自身が認知症になった際の、自宅、駐車場、預貯金などの管理、運用についても道筋をつけておく必要がありました。もし何もせずにA様が認知症になってしまうと、駐車場の契約の更新や管理、自宅を売却して介護施設へ移動する際などに、諸々の手続きを行うことができなくなります。
家族信託の設計
今回のケースでは、近くに頼れる姪・甥の方がいらっしゃいましたので、家族信託を中心に対策することにしました。
家族信託のもつ①認知症による財産凍結の防止、②財産の承継機能(遺言と同様)を活用します。
近くに住んでいる姪のB様を第一受託者にする形にしました。もし姪が先に亡くなった場合に備えて甥のC様を第二受託者にしました。
・委託者・受益者:母
・第一受託者:姪
・第二受託者:甥
家族信託によって実現したこと
家族信託を活用することで財産の管理や承継の道筋を決めることができました。
自分が認知症になるリスクももちろんですが、相続人や親族に認知症の方がいると、すべての手続きに大変な手間がかかるというリスがもあります。
また、今回のケースは財産の引継ぎ先についての明確なご希望や目標がありましたので、その実現に向けて早め早めに行動して良かったケースでもあります。
お子様がいないご家庭では、このような兄弟相続の発生による思わぬトラブルが起こりがちです。早めの対策を検討し、ご家族とのコミュニケーションをとっておくことが大切です。