【金融機関インタビュー】豊田信用金庫さまの家族信託サービスについて
ファミリアグループでは豊田信用金庫様(以下、豊田信金様)と提携し、家族信託や相続関連のサービスを地域の皆様にお届けしています。
今回は、豊田信金様が家族信託サービスに取り組まれている背景や、実際にどのようなサポートをお届けされているのかインタビューさせていただきました。
インタビュー動画
インタビュー記事
豊田信金様が家族信託に取り組んだ理由・背景
高齢化が進む中で、認知症にかかわる介護や医療の問題が取りざたされていますが、それに加え、お金の問題も非常に大きな社会課題といえそうです。金融機関として、この点はどのような問題意識をおもちでしょうか?
金融機関においても、認知症問題について深刻に考えなくてはいけない事だと認識しております。
例えば、財産管理の問題。本人の意思に基づき家族が生活費等を窓口で出金している方もいるかと思いますが、本人が認知症になった時点で、家族が今まで通り行っていた事が突然出来なくなってしまいます。
当たり前と言えば、当たり前の事ですが、この事についてみんなが認識している訳ではありません。このような事実を伝えながら、成年後見制度だけではなく家族信託という選択肢を事前にお客様に伝えていくこと(情報を提供していくこと)は、金融機関として大変重要なことだと思っています。
家族信託に取り組んだ理由・背景としては、
・高齢化社会に突入し、認知症の方が増加している背景を踏まえ、家族が認知症になったとしても不自由なく今まで通りの手続きができるしくみを提供する必要性が出てきたため。
・認知症を発症した方が窓口に来た際のスムーズな対応の必要性が高まってきたため。(交通整理的な意味合い)
・認知症を発症している家族の方と折衝(手続き)する際におけるトラブルの回避および金融機関としてリスク回避の必要性が出てきたため。
・高齢者向けの相談業務の中で、家族信託に関する問い合わせが増加し、対応する必要性が出てきたため。
といったことがございます。
実際の豊田信金様の業務の現場において、お客様はどのようなことでお困りになっているのかお聞かせいただけますでしょうか。
下記のようなお困りごとが多く寄せられております。
・本人(家族)が認知症を発症した際に、財産凍結が起こり手続き(預金の払い戻しや定期預金の解約等)をすることが出来なくなった。
・アパート管理をしているが、高齢になり管理が厳しくなりアパート管理を子供に任せたい。(現在もう既に任せており、本人が認知症になった場合どのようにしていけば良いか心配)
認知症とお金のトラブル対策としては、成年後見もあると思いますが、豊田信金様が「家族信託サービス」を強化されている理由はどういった所にあるのでしょうか。
大きく分けて5つあります。
①お客様の利便性向上
②地域金融機関としての使命(地域貢献)
③銀行業務におけるトラブルの防止
④他金融機関との差別化
⑤今後、高齢化向け商品を開発していく上での1つのステップとして、早急に商品を開発する必要性があったこと
豊田信金様での家族信託サービスについて
豊田信金様の家族信託サービスについて、具体的にどのようなサポートをしていただけるのか教えていただけますでしょうか。
お手続きの流れは下記のとおりです。
①家族信託預金口座(信託口口座)の開設
受託者(財産を託され、管理・処分する人)個人の財産と信託財産を分別管理する専用口座の開設をおこないます。
※信託契約は、専門家(司法書士、弁護士等)の方を通じて作成していただく必要があります。
②信託契約に基づくご融資
信託契約に基づくご融資(アパートローン)についてお取扱いを行います。
③家族信託契約書作成のための専門家のご紹介
家族信託のご相談ができる専門家(司法書士、弁護士等)の方をご紹介いたします。
一般のお客様が家族信託についてご相談する際の窓口や、ご依頼をいただいた後の流れについて教えていただけますでしょうか。
- ご相談の流れは下記のとおりです。
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①各営業店の窓口にてご相談を受け付けます。
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※得意先係がお客様宅に訪問した際に直接受付する場合があります。
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②各営業店から本部(資産運用支援部)に相談および面談依頼。
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③状況により本部担当者よりお客様に連絡し、相談内容および意向確認。
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④「司法書士法人ファミリア」さまへ同行訪問依頼。
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⑤お客様と相談プラザ、各営業店の応接、お客様の自宅等で相談対応。
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⑥お客様との相談内容を基に、お客様に対し「司法書士法人ファミリア」さまより家族信託契約書のたたき台および料金表の提示(信託口口座作成手数料等含む)
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⑦お客様と家族信託契約書詳細部分の打ち合わせ。
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⑧家族信託契約内容が確定したら、公証役場に対する日取りを設定。
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⑨公証役場(出張を含む)にて家族信託契約書の作成。
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⑩家族信託契約書を基に信託口口座の作成。
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⑪信託融資が発生する場合においては、信託口口座作成後、1月後を目途に信託融資の設定(債務引き受け)
豊田信金様にご相談してから家族信託の契約が終わるまで、おおよそ、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。
ご相談者様のご意向、相談内容および本商品に対するご家族間の理解度合により大きく左右されますが、おおよそ2か月から6か月ほどかかります。
信託融資が絡む場合については、上記期間に加え2か月程お時間を頂いております。
豊田信金様の家族信託サポートをお客様がご検討される際に、気を付けておくべきポイントはありますでしょうか。
お客様にお伝えしているポイントは以下の4つです。
・家族信託について家族間(相続人を含む)で理解を得られているか。
・委託者・受託者が家族信託業務についてしっかり理解しているか。
・偏った考え方をしていないか。(家族信託を悪用するような事を考えていないか)
・家族全員仲良く一定の方向を見ているか。
ファミリアグループと連携したお客様へのサポートについて
家族信託サポートについて、ファミリアグループと提携をしていらっしゃいますが、提携をしたほうがよいとお考えになった理由や背景はどういったところでしょうか。
家族信託業務を進めるにあたり、士業の方(司法書士、弁護士)の考え方も多様であり、いろいろな士業の方と付き合うよりも、決まった士業の方と仕事をした方が家族信託業務が安定し、取扱いリスクが少なくなると考えていたためです。
豊田信金様のネットワークには他にも司法書士や税理士などの専門家がいらっしゃると思いますが、ファミリアグループと提携を決めたポイントはどういったところでしょうか。
たくさんありますが…代表的なことですと、以下のようなポイントがあったと考えています。
・家族信託業務に長けていることに加え、家族信託業務に対する「思い」「考え」「仕事の進め方」が当金庫の想いと同じであったこと。
・当金庫からの質問に対し親身になって対応してくれたこと。
・ご紹介したお客様に対し、最優先で日程調整から同席をしてもらえ、お客様に丁寧で分かりやすい説明をしてくれる安心感があること。
豊田信金様とファミリアグループで協力してサポートした具体的な事例について、印象的なものがあれば、教えていただけますでしょうか。
80代のご夫婦から(A様ご一家)このようなご相談がありました。
ご家族の状況
A様には娘様が2名いらっしゃいます。長女様は独身、次女様は結婚して2名のお孫さんがいます。お母様は、かつて、ご自身のご両親の認知症で大変苦労された経験があり、ご自身の認知症対策はしっかりしておきたいとのご意向をお持ちでした。
お父様、お母様ともに、ある程度の預金をお持ちです。また、お父様はご自宅の他にも土地を管理しています。お父様が認知症になったり、相続が発生したりしたときに、残されたご家族が苦労するが無いように、また、できれば成年後見を利用せずに家族で財産の管理ができるようにしておきたい、というご要望でした。
財産の承継については、土地や金銭の管理は次女さんに任せ、その後も相続してゆきたい、というご意向でした。また、数年前、独身の長女さんがご自宅を購入する際の援助をご両親からされていました。
お客様にご提案したスキーム
このケースでは、まずご両親の認知症対策を最優先に、金銭および土地に関する信託契約を締結しました。この家族信託契約により、お父様と次女様の間で締結し、もし、お父様が認知症になってしまって、ご自宅の管理や状況に応じた売買、預金の管理などを、次女様が、適法に行うことが可能になります。
同時に、財産の承継についても、遺言を作成することで円満に進むように対策をしておきます。家族信託は、おもに土地の管理や、不動産の維持管理・運用に掛かる金銭を信託し管理することを目的にしています。ですので、それ以外の金銭(相続の対象)については、遺言でカバーする必要があります。
土地の管理は主に次女様に任せることにしましたので、長女様と次女様の間に不平等感がでてしまい、相続発生時にトラブルにならないよう、気を付ける必要があります。そこで、長女様に対しては、お母さまの金銭から財産が引き継がれるよう、遺言を作成しました。
このように、家族信託と遺言は互いの得意分野を組み合わせて、ご家族の思いを実現し、同時に望まないトラブルを予防するために、補完的に活用することをお勧めしています。
ファミリアグループのサポートについて、豊田信金様にとって良かったことや、特にお役にたてたことは、どういったことでしょうか。
お客様へ一緒にご提案させていただくなかで感じたことをいくつかピックアップしますと、以下のようなことがあげられると思います。
・契約書作成から公正証書作成までスムーズに行えること。
・客先への同行訪問をしっかりしてもらえること。
・当金庫が疑問に思ったことに対し、きちんと答えをくれるところ。
・当金庫側からの要望に対し、迅速に対応してくれるところ。
・親切、丁寧、分かりやすい説明で、難しさを感じず、家族信託契約書(遺言書含む)を作成することが出来たこと。
お客様からは、私達のサービスについて、どのようなお声をいただけていますでしょうか。
親身に丁寧なご対応いただき、多くの感謝のお言葉をいただいております。
豊田信金様の今後の展望について
家族信託は、人生のライフステージでいえば、認知症になる前の早いタイミングから取り組む対策です。豊田信金様では、遺言や後見などの相続対策や、相続が発生したときなどのことも、サポートしていらっしゃるのでしょうか?
高齢化社会を見据え、今後、高齢者サービスに力を入れていくため、2016年4月に相続遺言信託課を新設し、「遺言信託」、「しんきん暦年信託」、「しんきん相続信託」、「家族信託」、「リバースモーゲージ」等いろいろな高齢者向け商品をラインナップし、お客様からの相続相談(高齢者向けサービス)に対応し年間500件程度の相談を受け付けています。
本店に併設している相談プラザにおいては、相続手続き等、土曜日も対応しております。
豊田信金様では、地域のお客様に向けて、どのようなサポートを提供されていくのか、今後の展望をお聞かせください。
当金庫が目指すべきゴールは「地域の皆が集まる相談拠点になる」ことです。
従来通りの「法人向けコンサルティング」、「個人向けコンサルティング」に加え、今後は高齢化社会を背景とした「高齢者向けコンサルティング」についても力を入れていきたいと思っています。
この3つのコンサルティングのうち、私の立ち位置としては、高齢者に対しどのようにしていくかということになりますが、高齢化社会と向き合い、地域のお客様の不安を取り除くために、高齢者向け商品の開発、敷居が低く相談しやすい場所を用意し、「豊田信用金庫が地元にあって良かった」と思われるような環境を常に提供しながら、地域の人々と「共存共栄」を図っていきたいと考えております。
まとめ
豊田信金様、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます!
ここまで、豊田信金様が家族信託をはじめとするシニアライフサポートに注力していらっしゃった理由、サービスの活用方法などをお伺いしました。
豊田信金様で家族信託のサポートを受けたい、相談したい、というお客様は、どうぞお気軽にご相談ください。
豊田信金様のホームページはこちら>>>
※私たちファミリアグループは豊田信金様と業務提携をしておりますので、ご相談の窓口としてお問い合わせ受付も可能です。